神奈川県の最低賃金額はいくらか【直近5年間の変遷と全国比較からの位置付け】
2021-05-20
日本の文化・慣習
【目次】
・神奈川県の最低賃金はいくら?
・神奈川県の最低賃金の推移について
・全国都道府県の最低賃金~神奈川県の順位は?~
・給与が最低賃金をクリアしているか確認する方法
神奈川県の最低賃金はいくら?
神奈川県の現行の最低賃金は1時間あたり1,012円です(令和2年10月1日発効)。最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類あります。「地域別最低賃金」とは、都道府県ごとに定められた最低賃金であり、国籍や年齢、正社員や契約社員、パートタイマ、臨時雇い、アルバイト等といった雇用形態や呼称にかかわらず、すべての労働者に適用されるものです。一方、「特定(産業別)最低賃金」とは、特定地域内の特定産業の基幹的労働者に適用されます。
神奈川県労働局では、神奈川県塗料製造業最低賃金など7種類の特定(産業別)最低賃金名が挙げられていますが、令和2年度の特定(産業別)最低賃金額は、改定されず、全産業に「地域別最低賃金額」が適用されています。
令和元年10月1日に発効された、前回の最低賃金は、1時間あたり1,011円でした。1年間で0.10%、金額にして、時給1円分上昇したことになります。1年間では、時給1円しかアップしていませんが、昭和47年10月1日に発効された最低賃金が1時間あたり140円であったことと比較すると、48年間で時給は872円のプラス、伸び率で表現すると、およそ622%の増加となっています。
出典:最低賃金のお知らせ【賃金室】、神奈川県の最低賃金金額改正一覧【賃金室】、特定(産業別)最低賃金のお知らせ【賃金室】|神奈川労働局
神奈川県の最低賃金の推移について
直近5年間の神奈川県の最低賃金の推移や引上げ率について確認していきます。令和2年10月1日発効の現行、最低賃金が1,012円(上昇率0.10%)に対して、令和元年10月1日発効分は1,011円(上昇率2.85%)、平成30年10月1日発効分は983円(上昇率2.82%)、平成29年10月1日分は956円(上昇率2.80%)、平成28年10月1日発効分は930円(上昇率2.76%)となっています。
現行分のみ、上昇率が前回と比べ0.10%と悪化していますが、平成28年から令和元年までの4年間は、2%台後半の伸び率で推移しており、バブル期であった平成2年ごろや、高度経済成長の余韻のあった昭和40年代後半の時期ほどではないですが、神奈川県の経済は確実に発展しつつあったといえるでしょう。
全国都道府県の最低賃金~神奈川県の順位は?~
神奈川県の最低賃金は、東京に次いで、全国2位です。令和2年10月1日発効の東京都の最低賃金は1,013円で、1円だけ神奈川県より高額となっています。最低賃金が1時間あたり1,000円を超えている地域は、全国47都道府県のうち東京都と神奈川県だけです。
総務省統計局が発表した資料によると、神奈川県の1か月当たり家賃・間代は、68,100円、東京都は81,001円です。神奈川県は、東京都とほぼ変わらない最低賃金が得られますが、家賃は、東京都より大幅に安くなっています。このことから、神奈川県は、東京都とほとんど同レベルの高賃金を得ながら、東京より低家賃で生活ができる、暮らしやすい土地といえそうです。
実際、神奈川県で働く外国人は前年比で3.2%、2908人増加し、94,489人となっています。労働者数が多い上位3か国は、中国24,804人(全体の26.3%)、ベトナム18,243人(全体の19.3%)、フィリピン12,276人(全体の13.0%)。在留資格としては、身分に基づく在留資格を利用する人が全体の4割ほどを占め、専門的・技術的分野の在留資格を活用する人たちのほか、資格外活動として働く人たちがいます。
神奈川県の外国人労働者のうち、26.9%は、製造業に従事しています。神奈川県労働局によると、食品などの工場で働く人が多いとのことです。また、建設業や卸売業、小売業、医療、福祉の仕事に就く方たちも増えつつあります。大多数の外国人労働者が、30人未満の事業所で働いています。
出典:統計Today No.152都道府県別でみる住宅状況~住宅及び世帯に関する基本集計(確報値)より~図6 借家の1か月当たり家賃・間代-都道府県(2018年)|総務省統計局、「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和2年 10 月末現在)|神奈川県労働局
給与が最低賃金をクリアしているか確認する方法
働いて得た、日給や月給といった給与が、最低賃金をクリアしているのか確認する方法をご紹介します。
【日給制の場合の確認方法】
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
例えば、日給が1万円、1日の所定労働時間が8時間の場合
10,000円÷8時間=1250円
神奈川県の最低賃金は1,012円ですから、この場合の日給は最低賃金額以上といえます。
【月給制の場合の確認方法】
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
例えば、月給が18万円、1箇月平均所定労働時間が160時間の場合
180,000円÷160時間=1,125円
神奈川県の最低賃金1,012円と比較すると、計算で出てきた1,125円の方が高いので、この場合の月給は最低賃金額以上といえます。
【出来高払制その他の請負制により定められた賃金の場合の確認方法】
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、総労働時間数で割り、時間当たりの金額に換算して、最低賃金額と比べます。
例えば、出来高払制の賃金が2万円、総労働時間が25時間の場合、
20,000円÷25時間=800円
神奈川県の最低賃金1,012円と比べると、212円低いので、この場合の出来高払制の賃金は、最低賃金額以下といえます。
労働者を使用する使用者は、最低賃金以上の賃金額を支払わなければいけないという法律があります。このルールを守らない場合には罰則(50万円以下の罰金)が定められています。(最低賃金法(昭和34年4月15日法律第137号)(抄))。詳しくは、神奈川労働局(電話045-211-7350)へ問い合わせてみましょう。神奈川労働局には、英語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語、タガログ語に対応した外国人労働者相談コーナーがあります。神奈川県は、外国人労働者向けのサービスが豊富で働きやすい地域となっています。
出典:最低賃金額以上かどうかを確認する方法、最低賃金制度とは、外国人労働者相談コーナー(監督課内) Foreign Worker Consultation Corner (in director department)、神奈川労働局|厚生労働省、