実は希少!?日本独自の娯楽『パチンコ』の遊び方
2019-10-20
日本の文化・慣習
日本に来た外国人のほとんどが「あの建物は何? あの中で大勢の人は何をしているの?」と驚く場所があります。それがパチンコ屋です。
外国人から見ると、じっと座って、ただハンドルを手で握っているだけで、なぜそれが楽しいのか不思議かもしれません。仕事をしているように感じる人もいるでしょう。
パチンコは日本独自の娯楽で、娯楽が少なかった時代から、ずっと日本人に愛されてきた歴史があります。ここでは日本独自のパチンコがどのようにして生まれてきたか、なぜ日本人に愛されてきたか、実際の遊び方についてご紹介します。
■パチンコの歴史
・発祥はヨーロッパ
17世紀のヨーロッパの移動遊園地には「マーブル」という子供の遊びがありました。平たい箱の上部に開けられた穴に3つのビー玉を入れると、玉は中の障害物にぶつかりながら方向を変えて落ちます。そして当たりに入ると景品がもらえます。
この単純な遊びが、産業革命期にスプリングで飛ばす、という技術が導入され、1895年、イギリスでウォールマシーンが登場しました。玉を打って、当たりに入れば景品としてたばこやコインがもらえるというもので、20世紀初頭のヨーロッパに、一種のブームを起こしました。しかし、大恐慌とともに、ヨーロッパからは姿を消しました。
このウォールマシーンが日本にやってきたのは大正時代。最初は遊園地で子供相手にお菓子などを景品としていたのですが、やがて日本でも改良を加えられ、大人でも遊べるような遊具となりました。この日本製の台は、露天商によってリヤカーに載せられ、縁日をめぐっていました。「パチンコ」という名前が生まれたのも、この時期だったと考えられています。
・現代パチンコを作った正村竹一
やがて日本は第二次世界大戦が起こり、日本の都市部は空襲によって深刻な被害をこうむりました。当時、名古屋でガラス商を営んでいた正村竹一も、空襲によって瀕死の重傷を負った1人でした。
終戦を迎え、焼け野原になった名古屋で、闇屋をしていた正村は、人々は日々の食料に飢えているだけでなく、娯楽にも飢えていることに気付きます。ささやかではあっても、人々が苦しい生活を一瞬でも忘れて、楽しめるようなものはないか、と考えて、かつてガラス商店の一画に置いていた、子供向けのパチンコが残っていたことを思い出します。正村は、景品に飴やまんじゅうを用意して、子供たちを呼び寄せました。
すると、大人も集まってきます。しかし、当時の大人がお菓子よりももっと切実に求めていたのは、たばこでした。今日とは異なって、成人男性はほぼ全員がたばこを吸う習慣があったのですが、肝心のたばこが流通していなかったのです。当時は、アメリカ兵の捨てた吸殻を集め、ばらばらにして、残ったたばこの葉を集め、紙に巻いてたばこに再生させて吸う、ということを、多くの人がやっていたほどでした。そこで正村は煙草を大人向けの賞品としました。
正村は、パチンコ玉25個を5円で売り出しました。サイダーが6円だった時代です。1個1個の玉をゆっくりはじき、入賞すれば2~4個の玉が出てきます。そうやって、30分、1時間、うまくいけば半日、人々は苦しい生活を忘れ、楽しんだのです。
その後、正村は1950年、約420本の釘と25個の入賞口を配備した、現代パチンコの基礎となるマシンを開発します。さらにそこから変更を加え、320本の釘と、玉の方向を変える風車が一体となった配列は「正村ゲージ」と名付けられました。今日のマシンは、コンピューターで制御されており、当時のものとずいぶん様変わりしていますが、基本となる釘の配列は、いまなおこの「正村ゲージ」が元になっています。
■日本人に愛されてきた大衆的な娯楽としてのパチンコ
・読みとテクニックの要素が日本人を引きつけた
1970年代ごろまでパチンコは、レバーを使って玉を1個ずつ打つものでした。何よりも大切なのが、「釘を読む」ことです。最上段にある4本の釘(天の釘)の微妙な角度によって、玉の飛ぶ方向が変わってきます。それぞれの釘は出玉をコントロールするために、微妙に角度が変えてあり、台によって入賞の確率が変わってきます。また、レバーの弾き方にも、微妙なコントロールが必要です。
釘を読み、力をコントロールして狙ったところに玉を打つ。そうした要素が、大衆的な娯楽が今に比べてはるかに少なかった時代の人々を引きつけたのです。
・技術革新を続けるパチンコ台
1980年代に入り、ゲーム機の登場など、娯楽の幅が広くなるなかで、より多くの人に遊んでもらおうと、パチンコメーカーの側も、技術革新を続けました。スタートという入賞口に入るとドラムが回転して数字がそろうと、大量の玉が出てくるフィーバー台、アニメやアイドルとタイアップして、アニメや音楽が流れるものなど、さまざまな台があり、多くの人が楽しめるような工夫がなされています。
■実際に遊んでみよう
・遊び方は簡単
最初にパチンコ店を選びます。店によって当たりはずれがあるので、大勢の人が遊んでいるところを選びましょう。
つぎに、台を選びます。玉を1個当たり4円で貸してくれる台、1個あたり1円で貸してくれる台、また好きなアニメが楽しめる台など、いろいろな種類があるので、気に入ったものを探してください。
席に座ったら、台の左側の上部に千円札を1枚入れます。すると、ICカードに1000円がチャージされます。そして、右下にあるハンドルの横の「玉貸」というボタンを押します。そうすると自動的に500円分の玉が出てきます。
上皿に玉を置き、ハンドルを回します。天釘(上に4本ある釘)の左から2番目あたりに玉が来るように、ハンドルを回します。ハンドルを調節しながら、デジタルが回る始動口に玉が入るように、コントロールしてください。デジタルの数字や絵柄が回り、全部そろえば大当たりです。
やめるときには「返却」ボタンを押します。すると、左上にあるカード出入口からICカードが出てきます。玉が残っている時は、受付カウンターの近くにあるICカード精算機によって精算し、景品に変えます。
・日本独自の娯楽を楽しんでみよう
パチンコ屋は独特の雰囲気がある場所です。せっかく日本にいるのだから、1度、日本独自の娯楽を楽しんでみてはいかがでしょうか。
コンピューター制御とデジタルのハイテクマシン、アニメ、ポップミュージック、玉を狙う位置などのテクニック、パチンコは日本らしさの要素のつまった娯楽です。ぜひ1度楽しんでみてくださいね。