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外国人の相続はどうする?手続き方法と日本国内での注意点を詳しく解説

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外国人の相続はどうする?手続き方法と日本国内での注意点を詳しく解説

2025-07-29

日本の文化・慣習

日本には相続について細かなルールがあり、相続の方法は法律で定められています。

さらに、相続により発生する相続税の申告・納税に関する手続きは複雑であることから、多くのケースでは税理士などの専門家の力を借りることになります。

この記事では、外国籍の方が日本の資産を相続する際の流れやルールについて分かりやすくまとめました。

外国籍で、相続を受ける予定がある方や日本の資産を所持している方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

日本に資産のある外国人の相続について

 

日本で発生する相続は、資産の種類や金額ではなく、被相続人・相続人の国籍が重視されます。

相続人が外国籍の場合

相続人に外国籍の方がいる相続を「国際相続」または「渉外相続」と呼びます。

日本は『相続統一主義』であり、被相続人(相続をする方)の国籍を基準として相続を行います。

そのため、相続人(相続を受ける方)が外国人でも、被相続人が日本人であれば日本の法律に則って相続を進めるのです。

この相続統一主義は、日本以外に韓国などでも採用されています。

その他にも世界には、被相続人の最後の住所を基準として考える「住所地法主義」や、資産のうち不動産のみは所在地の国の法律に則る「相続分割主義」が存在します。

被相続人が外国籍の場合

被相続人つまり相続をする方が外国籍である場合、相続は被相続人の本国法で行います。

このケースでは日本国内で発生した相続であっても、被相続人の国の法律で相続が進められます。

ただし、被相続人の国で「相続分割主義」(不動産は所在地の法律を基準とする)・「所在地法主義」(被相続人の最後の住所がある国の法律を基準とする)が選択されている場合には、被相続人の国の規定に従った結果、日本の法律で相続をすることになるのです。

相続税に国籍は関係ない

相続税に国籍は関係ありません。

そのため、被相続人・相続人のどちらかまたは両方が外国籍であっても、日本の相続税が課税されるケースが多いです。

ただし、被相続人が10年以上日本に居住していない場合や一時的に日本で生活している外国人である場合には、日本にある財産のみに相続税が課されることもあります。

 

相続人の所在地による相続の違い

 

この章では、被相続人は日本国籍であり相続人が外国籍で日本の法律に則って相続を進める時に、相続人は日本国内にいる場合・外国にいる場合の考え方の違いを説明します。

相続人が日本国内にいる場合

被相続人は日本国籍・相続人は外国籍で相続人が日本国内にいるケースでは、日本の法律に基づいて相続手続きが進められます。

これは、日本が先ほどお伝えした「相続統一主義」であるためです。

用意する書類は日本国籍の方と異なるものの、手続きの流れは同様であると考えてください。日本人と同じように、外国籍の方にも相続税が課税されます。

相続人が海外にいる場合

相続人が海外にいる場合には手続きが多少複雑化するものの、遺産分割協議はメールや電話で実施しても問題はないため、相続人が海外にいるままの状態で相続を進められます。

相続人が外国籍かつ外国に暮らしているとしても、被相続人が日本国籍である場合には適用される法律は日本のものです。

一時的に外国で暮らしている方は相続税の対象になりますが、以下のような状況の方は日本国内にある資産のみに相続税が課税されます。

 

l  相続人が日本に住所を持たない

l  相続人は10年以上日本に住所がないまたは、10年以内に住所はあったものの相続開始時に住所がない、あるいは在留資格のある外国人である

 

状況によって、相続税の考え方が変わることを知っておいてください。

外国に暮らしている日本人も相続ができる

外国籍の方と同じように、外国に暮らしており日本の住民登録をしていない日本人も相続を受けられます。

ただし、住民票や印鑑証明書が手に入らないため在留証明を代わりに使う必要があります。

 

 

それぞれの手続き、注意点

 

ここでは、外国籍の方が相続を受ける時の注意点をまとめました。

外貨建ての財産は円貨に換算する

外貨建ての財産は、円貨に換算して相続手続きを進めます。

原則として、相続税は被相続人が亡くなった日の対顧客直物電信買相場(TTB)で日本円換算した金額で算出されます。

さらに、外国にある不動産はその国のルールで価額を割り出す必要があるでしょう。

外国籍の方を含む相続はプロに任せるべき

外国籍の方が相続人または被相続人である場合には、相続手続きが複雑化します。

日本の法律に則って相続をするケースでも、戸籍謄本や住民票の代わりに外国の証明書が求められる可能性があるためです。

また、被相続人が外国籍でその国の法律に沿った相続が必要な時には、より相続の難易度が高くなると言えるでしょう。

外国籍の方が関係者に含まれる相続は、税理士などの相続のプロに相談するべきです。

 

 

 

不動産の場合の手続き

 

日本国籍の被相続人が外国籍の相続人に不動産を相続することもできます。

この章では、外国籍の方に日本の不動産を相続する時の手続きについて説明します。

相続した財産の名義を相続人に変更する相続登記

相続登記は、相続した不動産の名義を外国籍の相続人に変更する際に必要な手続きです。

正式名称は「所有権移転登記」であり、日本人同士の相続でも実施されます。

ただし、外国籍の方の相続登記では、戸籍謄本・印鑑証明・住民票が準備できない可能性があります。

その場合には、必要書類に準ずるものを用意しなければいけません。

戸籍制度を採用していない国の方の身分を証明するためには、外国人住民票などを活用します。

さらに、外国の書類を使用する場合には日本語への翻訳も必要です。

相続登記時に登録免許税を納付する

所有権移転登記を行う際には、相続税のみでなく登録免許税も課税されます。

登録免許税は原則として、土地の価額/建物の不動産価額の0.4%です。

さらに、相続税の申告は相続人が相続の発生を知った翌日から10ヶ月以内に申告・納付しなければいけません。

 

 

 

外国の方日本の不動産を相続する時の注意点

 

外国の方が日本の不動産を相続する場合は、以下のポイントに注意してください。

不動産の管理状況を確認するべき

不動産を相続する際には、その不動産の管理状況を確認するようにしましょう。

長年誰にも管理されていない状態の不動産には、以下のような問題が潜んでいる可能性があります。

 

l  建物が老朽化し倒壊の危険性がある

l  老朽化した建物が倒壊して近隣に損害を与えると損害賠償責任を負う可能性がある

l  第三者が建物や土地を不当に占拠している可能性がある

l  草木の手入れがされずに害虫が発生している可能性がある

 

このように、長年放置された不動産の相続により、何らかの不利益を被る恐れがあるのです。

特に相続段階で外国に暮らしている方は不動産の状況を確認しにくいものです。現地の業者に依頼をするなど、人の手を借りてでも、相続前に不動産の管理状況を把握するようにしましょう。

不動産管理会社が物件を管理していない場合のデメリット

不動産の中でも建物の相続をする際に、不動産管理会社が物件を管理していない場合は、建物の管理が行き届かず不動産の資産価値が大幅に下がっている可能性が考えられます。

不動産の所有者は建物の管理責任を負うことになるため、何らかのトラブルが発生した時には所有者の過失の有無に関わらず、責任を問われる恐れがあるのです。

また、地方自治体から「特定空き家」に指定されてしまうと、固定資産税の優遇措置を受けられなくなります。

適切に管理されていない不動産の相続により、固定資産税負担の増額・所有者責任が発生するなどのデメリットが生まれるリスクについて知っておきましょう。

 

wagaya Japanは外国人オーナー様向けの管理サービスを提供しております。

日本の不動産管理で40年以上のノウハウがあり多言語対応可能な弊社にぜひご相談ください。

 

 

 

まとめ

 

日本にある資産について、外国籍の方が相続を受ける時には、基本的に日本の法律に従い相続を実施し、相続税を支払う必要があります。

ただし、被相続人が外国籍である場合・相続人が日本に住所を持たない場合などは、状況が異なるので注意しましょう。

外国籍の方を含む相続は複雑であるため、税理士などプロに手続きを依頼するべきでしょう。

wagaya Japanでは、多言語対応可能な士業との提携がございます。外国籍の方の相続に関するご相談も承っておりますので、お困りの際はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

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