国外居住で日本の不動産を所有する場合に必要な『納税管理人』とは?必要になるケースと選任の流れ
2024-11-22
日本の住まい,日本の不動産投資
「日本の不動産を所有するなら納税管理人が必要?」「誰にお願いすればいい?」
海外に居住していても日本で所得が発生すると日本で確定申告・納税が必要です。
それらの手続きを本人に代わって行うのが納税管理人であり、海外居住者が日本の不動産を所有する際に必要になるケースがあります。
この記事では、納税管理人の基本や必要なケース・選任方法など分かりやすく解説します。
納税管理人とは?
納税管理人とは、海外居住者に代わって日本国内で確定申告や納税などの税金手続きを行う人です。
所得が発生した時の所得税だけでなく、固定資産税や住民税・贈与税など様々な税金が対象となり、具体的には以下のような業務を担います。
- 確定申告書の作成・提出
- 各種税金の納付
- 税金還付金の受取
- 税務署からの送付物の受取
納税義務者が海外に居住している場合、税務署からの書類の送付や連絡は容易ではありません。
納税義務者も納税や手続きのたびに日本に行くのも大変でしょう。
納税管理人を選任することで、海外に居住したままでも日本の税務処理ができます。
ただし、納税義務は本人が負うものです。
納税管理人はあくまで手続きを行うのであって、納税義務を代わりに負うことはないので注意しましょう。
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海外在住・外国籍の方が日本国内で不動産投資していても確定申告が必要?
日本に住んでいないのに、なぜ日本で確定申告が必要になるのかも確認していきましょう。
海外在住・外国籍でも日本国内に所得があれば確定申告が必要
日本の所得税法では、以下の所得を課税の対象としています。
- 居住者:日本国内および海外での所得
- 非居住者:日本国内に発生源泉のある所得
日本に居住している人は、日本だけでなく海外で発生した所得も課税の対処となり、確定申告が必要です。
一方、日本に居住していない非居住者は、海外で発生した所得は課税の対象ではありませんが、日本国内で発生した所得は対象となります。
そのため、日本の不動産に投資し、その不動産で賃料や売却利益が発生した場合は、日本の税金の対象となり確定申告が必要になるのです。
居住者・非居住者の違い
居住者・非居住者の違いは、以下のとおりです。
- 居住者:日本国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居住する人
- 非居住者:居住者以外の人
住所とは個人の生活拠点がどこであるかによって判断され、居住は現実的に居住している場所として判断されます。
さらに、居住者は「非永住者」と「非永住者以外の居住者」に区分され、日本国籍がない場合で過去10年間に日本で住所をもっていない、又は居住期間が5年以下の人は非永住者となります。
たとえば、来日し日本国籍のない外国人であれば、過去10年以内の住所・居住期間が5年以下であれば、非永住者に該当します。
非永住者のこの場合、海外源泉所得以外の所得と海外源泉所得のうち国内で支払われたもの・国外から送金されたものが課税の対象です。
これとは異なり、日本国内に住所を持つ、または日本国内に現在まで引き続き1年以上居所を有する者は非永住者以外の居住者となります。
非永住者以外の居住者の場合は、国内および国外において生じたすべての所得が課税対象です。
居住者と非居住者の区分によって課税対象となる所得が異なるので、注意しましょう。
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納税管理人を選定して確定申告できる
海外居住者であっても日本国内で所得が発生すると、日本で確定申告・納税が必要です。
e-Tax(電子申告)で海外から申告できるのは、居住者のみに限られるので非居住者は日本での手続きが必要になります。
とはいえ、確定申告や各種税金の手続きのたびに日本に来るのも現実的ではありません。
納税管理人を選任することで、海外に居住したままでも日本での確定申告や各種税金手続きを代わりに行ってもらえます。
納税管理人の選定が必要になるケース
納税管理人の選任が必要になる主なケースは、以下の3つです。
- 海外に居住していて日本の不動産運用で所得を得ているケース
- 海外に居住していて日本国内で相続や贈与・固定資産税が発生したケース
- 日本国内居住中に一定の所得があるケース
海外に居住していて日本の不動産運用で所得を得ているケース
日本で所有する不動産を源泉とする所得が発生するケースでは、納税管理人の選任が必要です。
居住用として保有する分には収入は発生しませんが、貸し出して賃料を得る・売却したといったケースでは所得が発生するので確定申告の必要があります。
海外に居住していて日本国内で相続や贈与・固定資産税が発生したケース
所得が発生しない場合でも、納税義務のある税金が発生する場合は納税処理のため納税管理人の選任が必要です。
日本の不動産は所有者に対して毎年固定資産税が課税されるので、基本的には不動産を所有すると納税対応のための納税管理人が必要になるでしょう。
また、不動産に関わらず亡くなった人から財産を受け取った際に発生する相続税・財産を贈与された際の贈与税が発生されるといったケースでも納税管理人が必要になります。
日本国内居住中に一定の所得がある
日本の所得税は1月1日から12月31日までの所得に対して課税されます。
そのため、1月1日から海外に出立するまでの期間に一定額以上の所得があると、所得税が課税されるのです。
基本的には出立日までに確定申告して納税が必要ですが、確定申告後納税できていない場合で納税対応のための納税管理人の選定の必要があります。
納税管理人になれる人と選任の方法
納税管理人を選任する必要がある場合、誰に依頼するのか・どのように手続きするのかを理解しておく必要があります。
以下では、納税管理人になれる人と選任方法を解説します。
納税管理人になる人
納税管理人は「日本国内に居住地がある人」であれば、基本的に誰にでも依頼できます。法人・個人関係なく必要な資格も無いので、親族や知り合いに依頼することも可能です。
ただし、納税管理人が行った手続きにミスがあると、無申告課税などのペナルティが納税義務者に課せられる恐れがあります。
そのため、税理面に詳しい人や税理士などに依頼することをおすすめします。
選任の方法
納税管理人の選任は、手続きする税金ごとの窓口に届出書を提出して行います。
手続きのタイミングは、出国日までです。出国後に納税管理人が必要になった場合も届出書で手続きする必要があるので、注意しましょう。
所得税の場合は、管轄の税務署に「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出して手続きします。不動産による賃料収入の場合は、不動産のある住所を管轄する税務署で手続きしましょう。
固定資産税の納税手続きを行ってもらう場合は、不動産のある住所を管轄する自治体にの役場、住民税なら1月1日時点の住所地を管轄する自治体の役場です。手続きしてもらう税金によって届け出先・提出書類が異なるので、事前に調べておくようにしましょう。
なお、納税管理人が不要になった場合は、届出した窓口に「納税管理人の解任届出書」を提出して解任します。
まとめ
海外居住者でも日本の不動産で収入を得る場合は、確定申告・納税のために納税管理人を選任する必要があります。
日本に居住地がある人なら誰にでも依頼できますが、税金関係の手続きを行うので税務面に詳しい人に依頼することが大切です。
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