海外にいながら日本の不動産を売却するには?
2023-03-28
日本の不動産投資
日本に保有する不動産を、海外にいたまま買手を見つけて契約を行い、売却することは可能です。
ではどのような手順で行えば、それが可能になるのでしょうか。
また、それらのプロセスにおいてどのようなことに留意すれば良いのでしょうか。
海外居住者(日本非居住者)の方が日本の不動産を売却するための基本手順やポイントについてご紹介致します。
■代理人の確保と必要書類の準備
海外居住者の方が日本へ渡航することなく不動産の売却手続きを行う場合、必須条件となってくるのが代理人を立てることです。
日本に親族や信頼できる知人がいるという方であれば、その方への委任は可能です。
しかしながら海外居住者が代理人を通じて不動産を売却する場合、特に必要書類を作成する場面などで代理人に専門的知識が必要となります。
代表的な例は司法書士へ委任することですが、司法書士に心当たりがない方は、後述する不動産会社に紹介してもらうと良いでしょう。
代理人を通じて契約を行う場合、次の三点の書類を用意する必要があります。
- 代理権限委任状
売主が代理人に契約手続きを委任した証書に該当するのが、代理権限委任状です。
委任内容や条件、物件情報、委任者(売主)、受任者(代理人)の個人情報などを明記し、売主と代理人の間で締結します。
- 宣誓供述書
日本の不動産売買契約では契約書へ捺印する印鑑(実印)の証明書が必要ですが、印鑑証明書を取得できるのは日本居住者に限られます。
そこで、印鑑証明書の代わりとなる書類が宣誓供述書です。
宣誓供述書を有効にするには、売主がパスポートと供述書をもって居住国の在日大使館に出向き、認証手続きを行ってもらう必要があります。
- 住民登録証明書または住所を記した宣誓供述書
不動産契約には売主の住所を証明する住民登録証明書、もしくは住所を証明する公的書類も必要です。
もし居住国がそうした書類を発行していない場合、住所を記した宣誓供述書を別途用意し、居住国所属の公証人に認証手続きを行ってもらうことで有効な代替書類にできます。
これら三点の書類の内、居住国で取得できないものはどう準備すれば良いかですが、代理人となる司法書士に作成を依頼し、居住国へ送付してもらうようにしましょう。
書類を受け取ったら代理権限の条件や範囲などによく目を通した上で必要事項を記載し、居住国で必要な手続きを行った上で司法書士へ返送します。
■信頼できる不動産会社選びが売却成功の鍵
日本は米国などと異なり、不動産の個人間取引はほとんど行われていません。
不動産会社を介して売買を行うのが「常識」と言って良い状況です。
ところが日本には大小約30万社以上の不動産会社が存在していますし、例えば賃貸に強い、仲介専門など得意分野も異なっています。
海外にいながら物件売却に取り組むなら、そうした海外居住者との不動産仲介取引で経験や実績を有する不動産会社の中からパートナーを選定することが売買成功の鍵です。
例えば、wagaya Japanでは、そうした取引手続きに強い司法書士や弁護士とのネットワークも備えていますので、信頼できる代理人の紹介も可能です。
海外居住者との不動産取引を強みとしている不動産会社は、海外顧客向けにweb上で積極的に情報発信していますので対象を探しだすことは難しくありません。
どのようなサポートを提供しているか、ホームページの隅々までよく目を通し、慎重にパートナーを選ぶよう心がけてください。
■戦略的な売却価格の設定
代理人と不動産会社が決まったら、次は物件の価格査定を行い、売却価格を決め、広告を出し、買手を探すという流れになりますが、ここでの重要ポイントは売却価格です。
不動産の価格査定はある程度標準化されていますので、売却する上での相場や目安にはなりますが、必ず売れる価格という訳ではありません。
例えば2週間ほど様子を見て買手が現れなければ、5%ほど値下げをしてまた様子を見るなど、売却価格に一定の幅を持たせ、戦略的に買手を募集することがポイントです。
不動産会社と事前によく相談し、そうした売却プランを練っておくと売却がよりスムーズに進むことが期待できます。
■各種納税で完結
買手が無事見つかり売主として売却の意志も固まったら、代理人を通じた売買契約手続きへと進みます。
この段階で留意しなければならないのが、不動産売却にともなって発生する場合がある、次のような各種税金の存在です。
- 印紙税
売買契約書へ収入印紙を貼り付けることで納税するのが印紙税で、売却価格が例えば1千万円超5千万円以下なら1万円、5千万円超1億円以下なら3万円かかります。
代理人と支払い方法を相談した上で、代理人に収入印紙を用意してもらうと良いでしょう。
- 登録免許税
売主が金融機関から借入して不動産を購入していた場合、物件には抵当権が設定されているので引渡し時にはそれを抹消する必要があります。
登録免許税とはいわば抹消手続き手数料のようなもので、もし物件をキャッシュで購入していた場合なら登録免許税は発生しません。
- 所得税・住民税
不動産売却で売却益が発生した場合、日本の非居住者であっても支払わなければならない税金が所得税と住民税です。
支払い時期は売却した「翌年」の確定申告期間中(通常2月16日から3月15日まで)で、日本で手続きを行う必要があります。
それができない方は納税管理人という代理人を立てて、納税する必要が生じます。
- 源泉徴収
日本非居住者が不動産を売却する場合、納税漏れ予防の観点から「買手」が売却金額の10.21%分の税金を予め差し引き、売手に代わって納税する仕組みを源泉徴収と言います。
源泉徴収が発生すると、売却金額の100%を受け取れなくなることは理解しておいてください。
なお源泉徴収は必ず発生するのではなく、次のいずれかに該当した場合のみ発生します。
・売却価格が1億円超の場合
・買主が居住目的ではない場合
・買主が個人ではない場合
■終わりに
海外居住者が日本に渡航することなく日本に保有する不動産を売却することは可能ですが、準備しなければならない書類や納税の仕組みなど、複雑な点もあります。
手続きの漏れやミスで売却契約が頓挫してしまっては、元も子もありません。
信頼できる不動産会社並びに代理人とチームを築き、入念なコミュニケーションを重ねながら一歩一歩着実に進めることで、納得の物件売却をぜひ実現してください。
wagaya Japanは海外居住者の日本不動産売却実績が多数ございます。
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