ブラジル人やペルー人が集まる南米タウン『鶴見』
2022-07-20
日本の地域情報
地球の裏側にあるブラジルや南米は日本から遠いイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。実は神奈川県の横浜の鶴見に多くの南米の方が暮らす南米タウンが形成されていることをご存じでしょうか。
この記事では、南米タウン・鶴見について解説します。
目次
鶴見に南米の方が多く住む理由
鶴見区は横浜市内で2番目に外国人人口が多いエリアです。その中でも南米国籍の外国人は市全体の約40%を占めています。そのため、鶴見区内には南米料理を提供するお店や食品を扱うショップが多く存在します。
明治から昭和の出稼ぎのための移住によって鶴見に南米タウンが出来たとされています。
この頃は、第二次産業が盛んになり、東京の大田区から川崎市や横浜市などの工業地帯は積極的な開発がおこなわれました。
そのため、必要となった労働力を南米国籍の移住民の力を充てるようになり、南米国籍の外国人も収入を得るため日本・横浜へ出稼ぎに移住してきたと言われています。
「南米タウン」となった理由
出稼ぎに南米国籍の外国人が日本に移住してきたことを前述しましたが、鶴見には、多くの南米からの移民が就く仕事があります。それが電気工事士です。
80年代、鶴見にいた沖縄系の電気設備業者が電気工事士に南米からの労働者を雇い始めました。そのため「鶴見に行けば仕事があり、同郷の仲間と一緒に働ける」と伝わったのです。
それ以来、ブラジルやボリビアの南米諸国から鶴見に移住し、電気工事士になる道が開かれました。
しかし電気工事の作業の中には国家資格がないとできない工事もあります。そのため資格の有無で待遇が大きく変わります。一方で試験の難易度は高く、合格率は4割ほどに留まります。日本語がネイティブではない移民の方々には、ハードルが非常に高いものでした。講座を開き、移民でも資格取得ができるようサポートする人が出てきました。
さらにNPO法人「ABCジャパン」が外国人を中心に助けが必要な人々への支援をおこなっています。ABCジャパンは外国人が日本でも電気工事士になれるよう「第2種電気工事士試験対策講座」に試験内容に日本語のふりがなをふるように働きかけました。現在では試験にフリガナが振られ、外国の方々を喜ばせました。
鶴見エリアのおすすめスポット
鶴見エリアのおすすめスポットをいくつかご紹介します。
南米の方におすすめの住むエリア
鶴見川に架かる潮鶴橋を渡った「仲通商店街」に「南米タウン」があります。この数年で店舗数は少なくなりましたが、10店舗ほどの南米料理が楽しめる飲食店もあるため、南米の方が住むにはおすすめのエリアです。
南米の方におすすめのお店
次に鶴見エリアの南米の方におすすめのお店を紹介します。
パライゾ ブラジル
パライゾ ブラジルでは、食品やスパイス、日用品を中心に取り扱っています。商品は南米から直輸入されているため、ここまで足を運ぶ南米のお客さんも多いようです。
ユリショップ
ユリショップはサンパウロに生まれ育った日系2世のユリさんが運営するショップとレストランが併設されたお店。ユリさんは日系2世ですが、出稼ぎで日本の地に渡りました。鶴見には当時から南米ルーツの方々が多く暮らしていたため、ある小さなお店を譲られたことがユリショップの始まりです。ユリショップのように移住した方々が南米文化を日本で継承されているお店もあるようです。
セグレード
セグレードはブラジルの家庭料理が食べられる関東圏のお店の中では1番に名前が挙がる有名店です。
鶴見駅から徒歩圏内にあるお店ですので、間口は小さいお店です。しかし中に入るとブラジル一色に染められた店内と提供される料理はブラジルの魅力がたっぷりと詰まっています。
ブラジル国旗の柄のテーブルクロス、アマゾン川流域のカラフルな鳥が描かれたポスターやブラジルの絵葉書も飾られており、ブラジルへトリップしたのではと思う店内です。
ブラジル料理のメニューも豊富で、ほかのお店で食べられないブラジル料理が楽しめるのも特長です。
TUCANO MEAT
テイクアウト専門店のTUCANO MEAT。ブラジル料理に欠かせない牛肉や南米系の食材、ブラジル料理の軽食をテイクアウトで販売しています。屋号の『TUCANO(トゥカーノ)』とは、ブラジルの国鳥『オニオオハシ』のことで、看板にもオニオオハシが描かれています。
鶴見エリアのその他おすすめのスポット・イベント
鶴見エリアのその他のおすすめ観光スポットやイベントを紹介します。
沖縄タウン
鶴見には南米タウンだけではなく沖縄タウンもあります。沖縄タウンには沖縄の食品・雑貨を取り扱うショップ、「おきなわ物産センター」が有名です。店内は決して広くはありませんが、狭い店内には、沖縄でしか購入できない商品がところ狭しと並んでいます。沖縄タウンを目当てに鶴見まで足を運ぶ方も多くいます。
また、沖縄タウンには沖縄料理を提供する飲食店や沖縄限定の飲み物を扱う自動販売機も設置されています。
おすすめイベントとしては毎年10月ごろに実施される「ブラジルWEEK in つるみ」があります。その年によってイベントは異なりますが、ブラジル料理教室やサンバ体験などブラジルの文化を楽しむことができるのでおすすめです。
まとめ
この記事では鶴見に南米の方が集まる理由とおすすめスポットをご紹介しました。
鶴見駅から南米タウンは少し歩きますが、鶴見駅は都心へのアクセスに30分以内と、とても便利なエリアです。地球の裏側に行かなくともブラジルなどの文化や料理、異国の雰囲気を楽しめるので、海外旅行にふらっと行きたい方にとっては特におすすめです。近くには沖縄タウンもあるので、少し足を伸ばせば沖縄ならではの雰囲気も味わえます。ブラジルや沖縄の食材や本格料理を求めてのショッピングや食事、多文化交流に訪れてみてはいかがでしょうか。